「森林ボランティア」について・・・
(1)森林ボランティアをする!
「森林ボランティア」については、森林インストラクタ−の間でも2つの考
え方があります。つまり、
[1] 森林内の案内をするボランティア
[2] 森林作業をするボランティア
です。この二つの考えについては皆さんもすでにお聞き及びになっているの
ではないかと思います。
ここでお話するのは、[2]の方の「森林作業をするボランティア」に関する
ことにします。それは、今日普通に「森林ボランティア」というと「森林作
業をするボランティア」を指すことが多いからです。
平成六年の林業白書(平成7年に公開)で、林野庁が荒廃する森林の管理
のために、市民参加によるボランティア活動を提唱した際に「森林ボランテ
ィア」と言う言葉が使われ、国策とされ、全国の都道府県では行政主導によ
る森林ボランティアの団体が組織されました。それ以来、「森林ボランティ
ア」というと森林作業をするボランティアを意味することが普通になりまし
た。
ここで一番の問題は、森林作業による事故が労働災害中第1位という危険
極まりない作業であるにもかかわらず、行政主導で動き出した、この「森林
ボランティア」の活動では、安全への配慮がほとんどされないまま今日に至
っていることです。
主催する行政側も参加するボランティア側も事故に関しては極めて甘い考
えを持っているに過ぎません。それ故、「事故と弁当は自分持ち」などと言
われがちです。
そうはいっても、ひとたび事故発生ということになれば、当然、刑事責任、
民事責任、行政責任が問われるのですが、そういうことを考え様とはしてい
ません。大半は事故が発生しても何とかなる、保険もある、といった考えに
終始しているのです。
ですから、自衛のためにも森林ボランティアをしようとする皆さん自身が、
森林や森林作業、また安全について十分な知識を持っている必要があると私
は考えています。
そこで、今日は、作業の安全を中心にお話したいと思っています。
(2)森林作業の種類
森林ボランティアの活動も緒についたばかりですから、どこの催しに参加
しても、主催者は「何かをやればよい。」と考えているに過ぎませんし、参
加者側は、「体を動かせればそれでよい。」と言った程度の認識しか持って
いません。これが悪いというのではありませんが、これでは、あまりにも無
目的に近いことになります。
実際には、森林作業の対象になっている森林は、おおむね人工林ですから
無目的でよいわけはありません。林家の方は、将来の収益を見こんで目的を
持って樹木を育てているのですから、それに合った作業を年々行っています。
また、森林ボランティアの方も、ある程度の知識があれば、森林の持つ複雑
な相が自然に見えてくるはずなのです。
今日のような長伐期林業ではスギなら80年後、ヒノキなら100年後に
収穫する材の姿を頭に描いて、林業家は森林の手入れ(管理)を実施してい
ます。森林ボランティアの参加する作業はこのような作業の一環なのです。
ですから主催者からは、
@ 造林の目的
A 今日実施する作業と造林の目的との関連
B 目的に合った作業の仕方や注意
などの説明や作業上の要望が参加者に伝えられなければなりません。現実は
どうかというとそう言う話はどこにも出てきませんし、参加者も早く腕をふ
るいたくて、そんなことはどうでもよいと考え腰が据わらないのです。
<例> 98/夏 埼玉県入間郡名栗村で行われた埼玉県森林サポ−タ−クラ
ブの活動では、新たな作業スペ−スへ移動するのに、植林木につか
まって上るものがいました。何のために手入れをしているのか理解
していないよい例でしょう。
ところで、森林ボランティアが参加する作業にはどのようなものがあるか
と言うと
@ 地ごしらえ
A 植林
B 下刈り
C 蔓きり
D 除伐
などです。
作業としてはこのほかに
E 枝打ち
F 間伐
があるのですが、EFは良材を育てる最も大切な作業なので、林家では、こ
れをボランティアの手に託すことはまずないと思います。
また、この二つの作業は、林業における労働災害の発生しやすい作業なの
で、責任の問題から考えても良識のある林家ではこれらの作業には専門の職
人を当てると思います。
<例1> 99/07 奥多摩町森林組合の作業班の職員(作業歴6年)が自分
が伐採した樹木の下敷きになって死亡。
<例2> 97/? 奥多摩町寸庭で奥多摩町で1、2の腕といわれた方が枝
打ち中の樹木から転落。即死。
森林ボランティア活動に参加する側も、どの作業がどのような危険をはら
むのか、しっかりと認識していることが大切です。
真剣に森と向き合っていきたいというならば、遠慮せ
ず、実践「森林教室」へご参加下さい。
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